初恋　二度目の恋…最後の恋
「とっても楽しかった。今度は高見主任も一緒に行きましょう」


「まあ、そんな機会があれば」


　高見主任は言葉を濁した。


　小林さんの言うとおり、一緒に海に行って遊ぶ高見主任を想像する…。言葉を濁すのがわかるくらいに想像が出来ない。今日の小林さんと私ははしゃぎすぎ。それは分かっている。


　でも、今日という一日は本当に楽しかった。男の人と初めて一緒に出掛けたので緊張したというのもあるけど、それ以上に二人の考えていることが分かったのがよかったと思う。普通の会話の合間に少しの仕事の話。折戸さんと小林さんの関係は私が思うよりもよくて…。会社の同僚というよりはそれを越えている。



「坂上さんは少し疲れたんじゃない？」


　そんな言葉に視線を上げると一人掛け用のソファに高見主任は座り、穏やかに微笑みを浮かべている。手に持っているビールの缶。


「あまり外に出歩かないので疲れましたが、楽しかったです。今まで、暇があれば、大学の研究室にいましたので。」

「坂上ちゃんは研究所の研究員だったんだよね。忘れてた」


　そういいながら小林さんはビールを口にする。ゴクゴクと飲む音が聞こえそうなほど、喉が動き、缶の中の琥珀色の炭酸が消えていく。前の飲み会の時も思ったけど、美味しそうにお酒を飲む。

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