初恋 二度目の恋…最後の恋
 高見主任の言葉に感動している私の横で折戸さんはまたまた驚くようなことをいう。私はまた真っ赤になってしまう。折戸さんが…女。…綺麗で優しくて。男の人が放って置かないだろう。で、高見主任との噂。


 頭の中の想像は…。ストップしてしまった。


「冗談はそのくらいにして。で、俺を驚かすというサプライズは成功したが、これからどうする?どうせ食事もしてないんだろ。何か作るか?」


「あ。俺が作りますよ。勝手に材料を借りていいですか?」


 そういって立ち上がったのは折戸さんだった。


 折戸さんの雰囲気からして料理をするタイプには見えない。そんな私の気持ちを折戸さんは簡単に見透かした。やはりここは女の私が作りますとか言わないといけないのかもしれないけど、研究以外は全く何もしてきてない私が出来る料理なんてたかが知れている。


「心配しなくても大丈夫だよ。美羽ちゃん。大事な美羽ちゃんのために美味しいご飯を俺が作るから」



 私はいつの間にか『坂上ちゃん』から『美羽ちゃん』に呼び方が変わっていた。


 


 くすぐったいような気持ちになる。


 名前を呼んでくれるのは実家の両親と病院にいるお祖母ちゃんだけ。もちろん恋愛経験のない私が男の人に呼ばれることも初めてで。


「美羽ちゃんねぇ。折戸は坂上さんのことを気に入ったんだね。」



 高見主任は面白そうにいうと、折戸さんがクスクス笑いながら高見主任と小林さんに綺麗な微笑みを向けた。

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