初恋 二度目の恋…最後の恋
「羨ましいなら、いっそ皆で『美羽ちゃん』で統一しますか?」


 折戸さんはどれだけ私を赤面させたらいいのだろうか?こんなに素敵な男の人たちに『美羽ちゃん』なんて呼ばれたら緊張してしまい、動きが止まってしまう。


「じゃあ。俺も『美羽ちゃん』って呼ぼうかな。その方が仲良しって感じだよね。高見主任はどうしますか?」


 そう言ったのは小林さん。仲良しって言葉が小林さんらしい。でも、高見主任の言葉は高見主任らしいと思うものだった。



「人に言われて呼び方を変えるというのは性に合わない」


 そんな高見主任の言葉に折戸さんは眩いばかりの微笑みを浮かべると高見主任に視線を向けた。


「高見主任。何かご要望は?」


「食べれるものなら何でもいい」


「了解」


 そういうと折戸さんはキッチンに消えていった。リビングに残された私はやはり女なのだから手伝うべきなのだろうけど、正直料理はそんなにするほうじゃない。自炊しているから作れないことはないけど、人に作ってあげた事なんかないから、自分の料理のレベルが分からない。


 心の中で焦る気持ちがいっぱいになってしまい、下を向く私の耳に折戸さんの声が聞こえた。


 


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