初恋　二度目の恋…最後の恋
「一人で料理は寂しいから、美羽ちゃんも来てよ」


　心の中で焦る気持ちがいっぱいだった私に立つタイミングを作ってくれた折戸さんは本当に優しい。私が立ちあがると高見主任はニッコリと微笑む。高見主任は折戸さんと私がキッチンを使っても嫌ではないみたいでホッとする。


「やけどに気をつけてね」


「はい」


　私は返事をしてからキッチンに向かうと、そこには折戸さんが引き出しの中から包丁を出しているところだった。どこに何があるのか分かっているようで手際よく準備をしていく折戸さんの前で立ったまま何も出来ない私がいる。


「何をしたらいいですか？」


「美羽ちゃんは大きめの平皿を出してくれる。出来れば無地のがいい」


　言われるがままに食器棚を開けると、そこには折戸さんが指定したと思われる食器が入っている。でも、一人暮らしの男の人の部屋にこんなにお皿があるものなのだろうか？そんなことを思いながら皿を出すと、キッチンの中では折戸さんが見事な包丁捌きでキャベツを千切りしていた。


　ピーラーで作ったのではないかと思うくらいの細さのキャベツの千切りはボールの中に入れられ、冷蔵庫から取り出した鶏のささ身はお酒を掛けてレンジに…。酒蒸しになったささ身を解してキャベツとなにやら色々な調味料を混ぜて作ったドレッシングで和える。


　キャベツと鶏のささみの和え物は…。


　お酒のおつまみではなくても美味しそう。
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