初恋　二度目の恋…最後の恋
　そんな風に手の込んで作られた料理の数々をさっきの大きめの平皿にいくつかを綺麗に持っていく。さながらおつまみのプレートというところだろうか。それにしても冷蔵庫から取り出した材料からこれだけのものが作れるなんて凄いとしか言いようがない。


「美羽ちゃん。これをテーブルに運んでくれる？」

「はい。」


　テーブルの上に折戸さんの作った料理を持ってリビングに戻ると、小林さんは既に何本目かのビールに手を付けていた。そして、持ってきたお皿をテーブルに置くと、小林さんは目を見開かせる。この美味しそうな料理の数々は…。小林さんでなくても垂涎ものだと思った。


　私も早く食べたい。



「折戸料理が食べられるとはラッキーだ。」


「折戸料理？」


「美味しいって有名なんだよ。何年か前の営業課主催の花見で作ってきた弁当に皆で涙したという伝説がある。そんなに量は多くなかったらしくて、みんなで奪い合うように食べ、瞬殺されるかのようにお重から料理が消えたらしい」


　行楽弁当で涙ってどのくらいすごいのだろう。それに瞬殺って…。高見主任の次に成績優秀な折戸さんの特技が料理とは思いもしなかった。お皿を置いてからキッチンに戻ると、折戸さんはまた新しい料理を作っていて、その手際の良さに驚くばかり。

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