初恋 二度目の恋…最後の恋
 そう言ったのは折戸さんで、その言葉でハッと思い出したのが今日から高見主任は出張だということだということ。行き先はオーストラリア。土曜日に月曜日から主張と聞いていたけど、海外とは思いもしなかった。行き先を聞くと、やはり営業一課が内外を問わずに営業を掛けているのを思い知る。


『高見主任が居ないと落ち着かない』


 そんなことを考えていると朝礼は終わって、みんな営業に行く準備を始めていた。そんな中、高見主任の机の方を見ると当たり前だけど、席は空いていて、高見主任の居ない営業室は大きな穴が空いたような気がする。営業一課に来て、ずっと高見主任に同行していた。そして、仕事を少しずつ自分の中で消化していく毎日を送っていた私には今週は長く感じるだろう。


 席に着くと、小林さんがニッコリと笑って私の顔を覗き込んでくる。今日も無邪気な笑顔全開だ。



「土曜日は先に潰れてごめん」


 小林さんは少しだけ申し訳なさそうにそっと言う。私は全く気にしてないけど、やはり男の人は気になるのだろうか?


「二日酔いは大丈夫でした?」



「思いっきり二日酔い。昨日は一日中寝てた。高見主任の部屋から折戸さんの部屋に行って、そこでずっと寝てた」


「折戸さんの部屋ですか?」



「ああ。高見主任の部屋から折戸さんの部屋にハシゴしたんだよ。会社の女の子には羨ましがられるシチュエーションでしょ」


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