初恋 二度目の恋…最後の恋
 二時になると、時間通りに大会議室で成果発表会が始まった。私の横には高見主任と折戸さんがいる。二人とも真剣な眼差しで配られた資料を見ていた。かなり厚めの資料は私にも配られ、その中身を見ていく。この成果発表会でどれだけの成果を上げたのかが楽しみでページを捲る度にどれだけ中垣先輩が頑張ったのか分かる。


 今回は中垣先輩が前に立ち、資料に基づいての成果発表が始まった。中垣先輩の落ち着いた声はハッキリとしていて聴きやすい。いつもは殆ど話さず、自分の研究に没頭しているのに、今日は堂々として背筋が綺麗に伸びていた。そんな姿を見ながら、自分が研究していたのがずっと昔のような気がした。


 真摯で落ち着いた声は大学の時から変わることがない。揺るがない自信に満ち溢れていた。この短期間にこのレベルまで持ってくるまでにはかなりの努力を要したと思う。でも、そんな苦労は微塵も感じさせない。


 盛大な拍手と共に成果発表会が終わると、私は息を吐く。自分のことではないのに、もしかしたら中垣先輩と同じように緊張をしていた。妙なところに力が入っていたのか少しだけ身体が痛い。


「営業室に戻るぞ」


 そんな高見主任の言葉で私と折戸さんは営業室に向かって歩く。大会議室に行くまでは三人で話しながらだったのに、帰りは誰も何も話さない。そして、高見主任は自分の席に戻ると、もう一度貰った資料を捲り、フッと息を吐く。

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