初恋 二度目の恋…最後の恋
 私はシャワーを浴びた後、眠ることが出来ずにベッドに寄りかかり時間を過ごした。考えるのは折戸さんの事だった。好きとは思う。でも、男の人としてとなると、恋愛経験のなさから分からない。自分の気持ちが分からないというのが致命的だった。


 さすがに窓の外から明るい朝の光が差し込んで来た時は自分が久しぶりに徹夜をしてしまったということを知る。そのくらい私は折戸さんのことを考えていた。何度も目を閉じようとしたけど、それは無駄な努力になってしまった。


 濃いめのコーヒーを飲み、鏡を見ながら自分に気合を入れ会社に向かう。会社にプライベートを持ち込むわけにはいかない。そう思った。


 いつも通り会社に行くと、営業室はいつも通り。折戸さんのフランス転勤も幻だったのではないかと思うほどだった。吐き出されるファックスの音とパソコンに打ち込む音が響いている。


「おはようございます」


 いつものように挨拶をすると、営業室からは皆の優しい声が聞こえてくる。その中には折戸さんの声も混じっていて、胸がキュッとなる。そんなドキドキしている胸を押さえつつ自分の席に着くと、斜め前に座る折戸さんが穏やかな笑顔を私に向けてくれるのだった。


 あんなに夜に寝れないくらいに悩んだのに…折戸さんは今日も綺麗だった。



「昨日はありがとうございます。ごちそう様でした」

「ううん。俺も楽しかった」



 そんな言葉を交わしてから、自分の机のパソコンを開くと、高見主任が静かに声を響かせる。



「じゃあ、朝のミーティングを始める。まず業務報告から行う」

 
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