初恋 二度目の恋…最後の恋
 でも、さっきの結婚のことについては触れなかった。


 それが折戸さんの優しさなのだと思う。少しでも私の気持ちの負担にならないように考えてくれているからだと思うけど、私は普通のありがちな会話をしながらもどこかで、さっきのプロポーズの衝撃が残っている。そんな中、私と折戸さんを乗せたタクシーは静かに私のマンションの前で止まったのだった。


「今日はありがとうございました」


「美羽ちゃん。また明日ね」


 とっても綺麗な笑顔で胸が痛くなるほどだった。少しも強引に私の心に踏み込んで来ない。あくまでも私の意見を尊重してくれる。私がどんな答えを出したとしても折戸さんは笑って受け入れてくれそうだ。


「おやすみなさい」


「おやすみ。ゆっくり寝てね」


「はい」


 私は折戸さんの乗っているタクシーが動き出してからマンションに入ると、待ち兼ねたかのようにエレベーターのドアが開き、私の部屋まで送り届けている。

 
 だけど、部屋に入るとそのまま廊下に座り込んでしまう私がいた。折戸さんのプロポーズに自分が思っているよりもかなり動揺していた。普通の人が聞いたら羨むような折戸さんからのプロポーズはやっぱり衝撃でしかない。


 折戸さんが私のことをそんな風に思ってくれているとは気付きもしなかった。優しい人だと思っていた。でも、それは私だけではない。みんなに優しくて、誰よりも思いやりのある人。


 そんな折戸さんに私は甘えるばかりだった。


 私はどうしたらいいんだろう。

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