初恋 二度目の恋…最後の恋
 こういう時、営業補助という仕事は何をしたらいいのだろう。まだ何も教えて貰ってない。でも、仕事を教えて貰うのを待つのがいいのか、それとも自分から動いて何かするべきかを聞いた方がいいのか。


 どうやって話しかけたらいいのかと悩んでいると彼は既に自分のカバンから取り出した書類を見ながら、パソコンに何かを打ち込み始めていた。こういうパソコンでの報告書を作成するのは私の仕事なのではないだろうか。


 真剣にパソコンに向かう彼にそれは言い出せなくて…。



「あの。コーヒーでも飲みますか?」


 そんな言葉を私は零していた。私がそういうと、彼は私に視線を向けるとまた無邪気に笑う。爽やかな笑顔に魅せられ、肩の力がスッと抜ける気がした。


「ありがとう。でも、もうすぐ昼だし、コーヒーはいいかな」


 やっとの思いで声を掛けた私の勇気は小さな空振り。でも、彼は私の方を向いてにっこりと微笑みを向けたまま言葉を零した。


「ねえ、坂上さんは弁当とか用意してる?」


「いえ。近くのコンビニで何か買ってこようかと思ってます」



「そっか、なら一緒に定食でよかったら一緒に食べに行かない?あんまり女の子を連れて行くような綺麗な店じゃないけど美味しいし安いよ」


 
 男の人からこんな風に言われたのは初めてだった。正直慣れてもない人と食事に行くのは気が重い。



 だけど、転属してきたばかりの私に気を使ってくれているのがわかったから私は頷いたのだった。

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