初恋 二度目の恋…最後の恋
「よくはわからないが、研究所は本社の営業とかと違って新人を育てるのに時間が掛かるらしく人員が足りない。それと新規プロジェクトは新人には難しいからだからだと思うんだが坂上さんに研究所に戻って新規プロジェクトに参加して欲しいと言う話だった。」



 研究所はほとんど大学と繋がっていて、そこから専門の研究をしているものを採用している。だけど、今の時期の採用が難しい。本当にタイミングの悪い時期だと思う。もう少し春先になると大学の方から研究所に新入研究員を受け入れることが出来るが、今の時期は卒論の提出を控えている。


 家の都合で研究員が急遽辞めたというのなら、研究所が困っているのはなんとなく分かった。私の方まで話が来るということはかなり切迫している状態だろう。


 研究所の所長は私のお祖母ちゃんの葬儀にも来てくれていたから、私に東京に留まる理由がないことを知っている。だからこその話なのだろう。



「今は内々の話しになっているけど、程なく辞令が出るでしょう。でも、坂上さんは女性だから、今なら断ることも出来ます。営業一課の主任としては正直、今の状態で坂上さんに抜けられると厳しい。折戸がフランスに行くから代わりに新しい営業員を受け入れることになっているが、営業一課ではやはり正確な商品知識が必要で、その辺りのフォローを坂上さんにお願いしたいと思っていました」



「本当にいきなりです。正直、驚いている方が先です」


「課長から聞いた時は私も驚きました。でも、時間がないので申し訳ないですが、早めに決断をお願いします。」


< 237 / 303 >

この作品をシェア

pagetop