初恋 二度目の恋…最後の恋
「わかりました。あの、もし転勤するとなるといつでしょうか?」


「来月の中旬と言うところでしょう。時間はあまりないそうです」


「本当に時間がないですね」


「そうですね。私としては、坂上さんは大事な戦力ですので正直困ります。でも、研究所のことを考えるとそれも仕方ないのかもしれないとも思います。でも、坂上さんがこのままここに居たいと思ってくれるなら、私は尽力します」


 高見主任の言葉が遠くに聞こえる。来月の初旬には折戸さんがフランスに行くことになっている。高見主任は私が折戸さんにプロポーズされていることを知らない。それにしても私の悩みは深くなるばかりだった。



「ありがとうございます。少し考えさせて貰います」


「はい。すみませんが決まったら早めに連絡をお願いします。それにしても急な話です。こちらにも事情があるのですが、それも研究所の人員不足に比べるものではないのでしょうね。研究所はそんなに人員が足りないのですか」


「はい。プロジェクト毎に担当研究員が決まるので、新しいプロジェクトが行われるなら既に研究員はギリギリの状態だと思います」


 私の人生は変わり映えのない生活だったのに、営業一課に来てから速度が増したような気がする。東京北研究所から本社の営業一課に転属になり、営業一課での仕事に慣れてきた今、今度は静岡研究所に行くようにと言われている。それに今、私は折戸さんにプロポーズされていて、その返事も待って貰っている。


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