初恋 二度目の恋…最後の恋
 営業室を出るとすぐに折戸さんは私の方を向き、穏やかに微笑むと今日の行先を告げるのだった。

 
「今日はちょっと趣向を変えて居酒屋に行こうと思うけどどう?」


「はい」


 いつもはイタリアンとかフレンチとか女の子が好きそうな店に連れて行ってくれるけど今日は居酒屋だった。でも、私が想像していたのは普通のチェーン店の居酒屋だったけど、そこはやっぱり折戸さんだと思う。


 その佇まいは少しだけ大人の雰囲気を漂わせていて、居酒屋といっていいのか微妙なラインの店だった。少し広めの店内は学生が集まるような居酒屋ではなく、オトナの男女が集まるような店だった。ゆっくりとした時間が流れるような気がしていた。


 個室ではないものの仕切られた空間は私と折戸さんしかいない。昨日といい、今日といい。折戸さんと過ごす時間が増えていく。その度に折戸さんの素顔を垣間見る。


「美羽ちゃんはウーロン茶でいい?」


 そんなにお酒の飲めない私に折戸さんは一番最初はウーロン茶を頼んでくれる。歓迎会の時はビールを頼んでくれたけど今はウーロン茶とかオレンジジュース。たまにアルコール度数の低いカクテルなど…。


 折戸さんは明らかに変わっていると思う。営業室の時とも違うし、今まで優しいお兄さんのような存在だったけど、プロポーズされてからは全く違う。自分がお姫様になったのかと思うくらいに大事にされていると思う。


 でも、今日は私も少し飲みたい気分だった。高見主任に言われたことが頭の片隅から離れない。

< 241 / 303 >

この作品をシェア

pagetop