初恋 二度目の恋…最後の恋
「ファジーネーブルがいいです」


 ファジーネーブルはオレンジジュースが好きな私にはお気に入りのカクテルだった。これも折戸さんが前に勧めてくれて好きになったものだった。オレンジジュースのようで、でも、少しのアルコールの味がちょっとだけ大人の気分を味わわせてくれる。


「じゃ、頼むね」


 折戸さんは自分のビールと私のファジーネーブルを頼んでくれたのだった。料理もいつも折戸さんは私に聞いてくれるけど、私よりも折戸さんの方が料理に詳しいから、それもお任せしての食事だった。


 それでも私の好きな料理を見透かすかのように私の好きな料理ばかりがテーブルには並んでいた。そして、サラダとかは折戸さんが器用に注ぎ分けてくれる。


 折戸さんはどこまで私を甘やかせるつもりなのだろう?


 運ばれてくる飲み物と料理を食べながらゆっくりと時間を過ごす。何杯目かのビールを飲んでいるのに折戸さんは酔っている気配はない。それに比べて私は二杯目のカシスソーダでフワフワと身体がしてくるほろ酔いだった。


 折戸さんの話は仕事以外の事が殆どでそれがとっても面白い。別に普通の出来事なのに面白く感じさせるのは折戸さんの言葉の選び方と話すタイミングだと思う。聞いている人の興味を誘うこの話し方は営業でも生かされているからあれだけの成績を残せるかもしれない。


「今日さ、仕事の合間にちょっとだけ本屋に寄ったら、欲しい本があってね。買おうかどうしようか迷ったけど止めたんだ」


「どうしてですか?」

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