初恋 二度目の恋…最後の恋
「店頭に並んでいる時はそう感じないのに手に取ったら、かなり重くて、これを持って歩くと重いし、それに仕事先に持ち歩くと読みたくて仕事にならない。会社に帰らずカフェに直行してしまう。そんなことをしたらこっ酷く高見主任に怒られる」


 そういってビールを飲みながら折戸さんは綺麗な顔を輝かせて笑う。


「確かに、本を買ったらすぐに読みたくなります。私も本を買うと、落ち着かないです」


「美羽ちゃんも一緒か」

「はい」


 こうやって話していると一緒にいる時間がたくさんあれば良かったと心から思う。そうしたらこんなに私は迷わなかったと思う。もっと好きになっていたと思う。ついそんなことを考えながら、食事の時にボーっとしている私に折戸さんの綺麗な顔が覗き込んできた。


「どうかした?酔った?きつくない?」


「大丈夫です。折戸さんは優しすぎます。甘やかされてダメな人になりそうです」


 
 そう初めて会ったときから、折戸さんは優しい。女の子として大事にされているというよりは人間に親切という感じ。私も小林さんも折戸さんにとっては変わらないのかもしれない。



「年の離れた妹が居るんだ」



 折戸さんに妹がいるというのは初耳だった。折戸さんは家族と離れて一人で住んでいるのは知っているけど、それ以外のプライベートのことは知らない。年の離れた妹さんがいるから折戸さんのポケットからはいつもいちごの飴が入っているのかもしれない。

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