初恋 二度目の恋…最後の恋
 季節の移り変わりは穏やかだけで確実に流れている。


 折戸さんのフランス行きの話を聞いてから一週間くらい過ぎていた。その間、殆ど毎日折戸さんと一緒に食事をしていたような気がする。毎日のように誘われて、断る理由がないから一緒の食事に行くのだけど、誘いを断らないのは折戸さんのことをもっと知りたいからだった。


 私のことを好きになってくれたから…私も真剣に応えたいと思う。プロポーズを受けるにしろ断るにしろ…大事な折戸さんだから真摯に向き合いたいと思っている。

 
 何度も一緒に食事に行っているのにプロポーズの返事については何も聞かれなかった。折戸さんが何も言わないのは私のことを待っていてくれるからだろう。私も自分のマンションに戻ると毎日、自分のことを一生懸命考えていた。折戸さんが言ってくれたように『後悔しない選択』というのは難しい。まだ答えは出てなかった。


「美羽ちゃん。そろそろ行こうか?」


 そんな小林さんの声で私はバッグを持って立ち上がる。今日は営業一課での折戸さんの送別会で幹事は私と小林さんだった。幹事とかはしたことないけど、小林さんが色々教えてくれるからなんとか準備をしている。


 でも、緊張は隠せない。


 店の手配などは、ほとんどは小林さんがしてくれて私は折戸さんへのプレゼントを買いに行ったくらいだった。そして、送別会が始まる前に店の方との打ち合わせもしないといけないし、プレゼントも運び込まないといけない。


「はい。では、高見主任、折戸さん行ってきます」

「ああ。時間になったら行くから」


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