初恋 二度目の恋…最後の恋

　今日も高見主任は日本酒のグラスを傾け、殺人的キラキラ光線を放ち、その前に座る折戸さんは穏やかな空気を纏い。和ませる。柴田さんと北井さんは、今日は象形文字ではなくてメソポタミアの楔形文字らしい。相変わらず分からない会話をしている。でも、こんないつもの飲み会が…とっても楽しかった。


　そして、私と小林さんは飲みながらも幹事なので皆が楽しめるように頑張っていた。


　一時間が過ぎたくらいの頃だった。


　柴田さんと北井さんのメソポタミアの楔形文字のレクチャーを受けた折戸さんが穏やかに笑いながら私と小林さんの座っている場所にビールのグラスを持ってきたのだった。折戸さんはいつものように穏やかに微笑んでくれる。


「やっぱり、柴田と北井の話にはついていけないな。古代文字の良さが俺には理解できないが、あれだけ楽しそうに話しているのを見ていると、それはそれで悪くない」


　折戸さんらしい言葉だと思った。


　折戸さんは小林さんと私の横に座るとその様子に、高見主任がチラッと視線を流す。その視線にはキラキラ光線は含まれてなくて…。気付いているのか居ないのか。ただ、事の成り行きを見守るという感じの優しい視線だった。折戸さんは私の前に座る小林さんをしっかりと見つめる。あれだけ飲んでいるのに、全く変わらない。


「ビール以外も頼みますか？」


「そうだね。そろそろワインもいいね。でも、今はまだビールで」


「はい。何かいる時は言ってくださいね」


「美羽ちゃんは優しいね」