初恋 二度目の恋…最後の恋
「好きなのにしたらいいのに。ミックスフライ定食も美味しいし、焼き魚定食もイケる」


 ミックスフライに焼き魚。そそられるけど、やっぱり気になるのは豚の生姜焼きだった。


「小林さんがいつも一緒っていう豚肉の生姜焼きは美味しいのだと思います。だから、それでお願いします」

 
 小林さんはにっこりと笑うと、手を挙げたのだった。


「確かに美味しいよ。じゃあ頼むね。


 豚の生姜焼き二つ。ご飯は大盛りと、少な目で。」


「はいよー」


 厨房からおじさんの野太い声が響く。おばさんに注文すると思っていたから驚いた。私は目を見開いていたのだろうか?


 目の前で小林さんがクスクス笑いだした。


「ごめん。びっくりしたよね。俺さ、めちゃ腹が減ってるから、自己主張してみた。もしも、坂上さんが一人で来たら、おばさんを捕まえて言えばいいからね」


「私もここではあんな風に大きな声を出さないといけないかと思いました」


「ここに常連で来る女の人の中には俺みたいに大声を出すやつもいるから、慣れたら坂上さんも試してみたら?大きな声を出すといいストレス発散になるよ」


「私がですか?」


「ああ。坂上さんが大声で呼ぶのを見てみたいかも」


 そういって小林さんはまた無邪気に笑った。
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