初恋 二度目の恋…最後の恋
 お店の精算とかは全部小林さんに任せていて、私は折戸さんと一緒に店の外に出るとそのまま小林さんが出てくるのを待っていた。折戸さんはあんなに飲んでいたのに、全く酔った気配がない。いつもの折戸さんが私の傍にいてくれる。しばらくして小林さんが出てくるとそのまま真っ直ぐ折戸さんの傍にいる私の所にきてくれたのだった。


「美羽ちゃん。大丈夫?」


「はい。大丈夫です。小林さん、お店の方は?」


「大丈夫。全部終わったよ。美羽ちゃんは少し酔ったみたいだね。二次会はもう無理だよね。俺がマンションまで送ろうか?」


 そんな小林さんの言葉に首を振る。


 今から二次会があるのが最初から決まっていた。二次会の幹事は柴田さんで今からその店に移動することになると思う。送別会の幹事というので気が張っていたのだろう。私はたった一杯のファジーネーブルで酔ってしまっていた。


「俺が送るよ。大事な美羽ちゃんに何かあったら大変だ」


 そんな折戸さんの言葉にも首を振る。



「自分で帰れるので大丈夫です。今日は折戸さんの送別会です。折戸さんもみなさんと一緒がいいでしょうし、小林さんも一緒に楽しまれた方がいいと思います。私はここからタクシーで帰るので大丈夫です」


「一人じゃ駄目。二次会の行き先だけ、聞いてから俺が送る。ちょっと待ってて」


 小林さんはそういい残して、高見主任の方に走っていった。自分一人でも帰れるのに送って貰うなんて申し訳ない。そんなことを思っていると折戸さんが私の横で優しい声を響かせた。


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