初恋　二度目の恋…最後の恋
「俺が送るのは嫌なの？」


「今日は折戸さんの送別会ですよ。主役の折戸さんに送って貰うわけにはいきません」


　今日の主役の折戸さんが居ない二次会なんてありえない。それにタクシーにさえ乗ればここから私のマンションまでそんなに距離はないから自分で帰れるという自信もある。大事な送別会に水を差すようなことはしたくない。それにまだ自分の気持ちを決めてないのに、甘えるのは申し訳ないような気がしていた。


「俺は甘えて欲しいけど」


「でも、それはダメです」



　そんな話をしていると、小林さんが走ってきた。すると、折戸さんがちょっとだけ顔を緩めた。二次会の場所を聞いてきたのだろう。いつもよりは少なめにしか飲んでないかもしれないけど走って大丈夫なのだろうか？私なら一気に酔いが回りそう。それでもやってきた小林さんは全く酔った感じはしなかった。


「蒼空。美羽ちゃんを送ってくれるか？」


「いいんですか？俺はそのつもりですが」


「俺は美羽ちゃんの意見を尊重するよ」


　折戸さんが私の意見を尊重してくれるというのなら…。それなら私の答えは一つしかない。



「では一人で帰ります。」


「駄目！！」
「駄目だよ」


　間髪入れずに駄目出しされた。私の意見は尊重してくれるのではなかったのかと、折戸さんをちょっと睨むと真剣な顔を私に見せる。

「女の子は一人で帰せないよ。」


　そうきっぱりと言い切った。


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