初恋 二度目の恋…最後の恋
「高見主任はワインとか飲んでいそうなイメージです」


 私がそういうと、小林さんはまたクスクス笑う。そんな姿を見ながらやっぱり晴れた澄み切った空のように爽やかだと思った。『名は体を表す』まさにその通りの人。明るく爽やかでいつもニコニコ笑っている。


「見た目や口調からしたら、高見主任は温和で優しい感じだよね。でも、実際の主任は結構面白い人だよ。年上なのにたまに子供じみたことをする。営業室を出ると気さくで付き合いやすい人だよ。仕事中は鬼だけど俺は尊敬している」


「鬼ですか?」


 あの優しそうな高見主任が鬼のように見えるとこなんか想像できない。優しくて穏やかで…でも、見ただけで仕事が出来るというのは分かる。




「信じてないでしょ。でも、すぐ、わかるよ。仕事の時は本気で鬼だから。今日も口調はそんなに厳しくなかったけど、言っていることは結構シビアなんだ。もうこれ以上は無理というところまで来るからね」


 小林さんの言う高見主任の考察は半信半疑のまま、豚の生姜焼きを口に入れた。


 ん?これ……好きかも。それもかなり。


 小林さんは私の顔を覗き込む。そんなに端正な顔を向けられると困る。無邪気に笑う小林さんはとても整った顔をしている。短く切った髪に少し焼けた肌が健康的で魅力的。


 真っ直ぐに見られると…緊張してしまう。豚肉の生姜焼きは堪らなく美味しいのに…。



「ねえ、坂上さんは東京北研究所でどんな研究していたの?」
 
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