初恋 二度目の恋…最後の恋
「私は新製品の研究チームにいました。今度発売の新商品の素材を作ったのは私のチームです。最後まで携わることは出来ませんでしたが、そこで研究してました」


「なんか凄いね。新製品は内外からも前評判がよく売り上げも伸びるだろうと言われている。実際に顧客からも何度も製品についての問い合わせ来ている。まあ、発売前だから何も言ってないけど、それでも顧客から聞かれるってことはそういう商品なんだろう」


 私の研究としての仕事は地味だが、成果は華々しい。中垣先輩の功績というのが大きいが、私も一緒に苦労をした。そして苦労して開発した商品が営業の人からそんな風な評価を受けていると思うと嬉しく感じる。研究所の中にいたら、この評価は聞くことが出来なかった。


 研究所を出てよかったこともあるのだと思った。


「やっと笑った」


「え。」



「坂上さん。ずっと困ったような顔をしていたから、誘って悪かったかと思ってたんだ。研究の話をしている時はとっても楽しそうだった」


 小林さんはさっきよりも一層際立つ笑顔を浮かべる。本当にいい顔で笑う人だと思った。



「困ってないです。でも、緊張はしています」


「同じ一課なんだから、緊張しなくていいよ。仲良くしよ。分からないところは教えてあげるし、相談にも乗る」


「ありがとうございます。」

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