初恋 二度目の恋…最後の恋
 喫茶店を出ると三人で並んで人混みに溢れるロビーを歩く。そして、搭乗口まで来ると、折戸さんはニッコリと微笑んだのだった。まるでちょっとそこまで行くかのような感じで…穏やかな笑顔をしている。でも、折戸さんはフランスに赴任で今度はいつ会えるのかもわからない。


「じゃあ。行ってくるね」


「はい。折戸さんもお身体に気をつけてください」



 不意に胸に込み上げるものがあって泣きそうになった。でも、泣いたら折戸さんに迷惑が掛かるのが分かっているから必死で我慢する。笑って見送りたいと思う。でも、キュッと唇を噛んでないと涙が零れそうになってしまう。折戸さんは私のそんな様子に気付かない振りをしてくれた。


「ありがとう。美羽ちゃん。フランスのチョコレートは美味しいから送ってあげるね。だけど、今日はこれで我慢して」


 そういうと、折戸さんはポケットの中からいちごの飴を取り出して、私の掌に乗せる。こんな時までいちご飴が出てくると思わなかったので、驚いて見上げると、そこには折戸さんの綺麗な微笑みがそこにあった。


「俺は美羽ちゃんを応援してるから。それと、蒼空。お前も頑張れよ」


「はい」

「じゃ、またね」


 折戸さんは軽く手を挙げて、綺麗な笑顔を残して搭乗口に消えていく。そんな後ろ姿を私は見えなくなるまで見つめていた。見えなくなると気が緩んだのか、頬に涙が零れる。笑って見送ることが出来た私はもう我慢出来なかった。

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