初恋 二度目の恋…最後の恋
「折戸さんさ。今朝、いきなり電話してきて、空港に見送りに来いって言うんだ。最初は俺に見送って欲しいからだと思ったけど違った。きっと美羽ちゃんのためだね。美羽ちゃんが必ず来るだろうと思ったから俺を遣したんだ」


「何でですか?」


「美羽ちゃんを独りで泣かせないため。折戸さんの飛行機が行ってしまうと美羽ちゃんは泣いてしまうかもしれないでしょ。で、今、泣いているから折戸さんの心配は当たっていたね」


 私が最後まで寂しくないように考えてくれた気持ちは嬉しい。


「折戸さんは本当に優しい人です。どれだけ私が営業一課に行って助けて貰ったか数えられません。でも、そんな折戸さんの気持ちに応じてここまで来てくれた小林さんも優しいです。本当にありがとうございました。来て呉れれて嬉しかったです」


 私がそういうと小林さんは視線を青い空に向け、目を閉じる。小林さんの髪が冷たい風に煽られてゆっくりと舞い上がる。そして、小林さんはゆっくりと目を開けると…私の方を優しく見つめ、真摯な表情を見せる。



「美羽ちゃん。好きだよ。誰よりも」



 あまりの優しい声に私は自分の胸が壊れたのかもしれないと思うくらいに大きく音を立てたのだった。小林さんの声が私の胸にそっと深く響いてくるのを感じずにはいられなかった。
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