初恋　二度目の恋…最後の恋
　静岡研究所は東京北研究所と同じように新緑の包まれていて、その木漏れ日を感じながら散歩することが出来るようになっている。研究所に住んでいるといっても過言ではない人がたくさんいるので、リフレッシュできる場所も多い。そんな中私は毎日決まった時間に散歩をするようにしている。今の季節は白衣の裾が緩く靡くほどの風が気持ちいい。


　ベンチに座って空を見上げると綺麗な青が新緑の間から見える。そして、目を閉じると思い出すのが、営業一課での日々。小林さんのことを思い出していた。もうずっと会ってないし、この頃はメールも途絶えがち、忙しいのかなと思うけど、それでもこうやって少しずつ時間が過ぎるとともに忘れられていくのかもしれない。



　今に思えば、営業一課は女の子が働く職場としてはかなり恵まれた環境だと思う。一課の話をすると研究所の女の子たちは黄色い歓声を上げた。一番人気がやはり高見主任で、研究所の女の子は仕事の出来る高見主任に羨望の眼差しを向けていた。私の研究所の机の上に飾ってあるのは、一課のみんなと飲み会の時に撮った写真。



　そのイケメンに囲まれた、ある意味逆ハー状態の私は現実逃避にはいいのかもしれない。静岡研究所にいってから、私のまわりにはいつも人が溢れている。


　女の子の同僚ともうまくやっていて、東京北研究所で一緒だった同僚は私の変わり振りに驚く。暇な時間が合えば、一緒にお茶をしたり、食事に行ったりする。そして、初めてコンパというのにも参加してみた。話には聞いていたけどあまりにもつまらない会話にがっかりして帰ってきた。



　話も顔も悲しいくらいに魅力を感じなかった。



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