初恋 二度目の恋…最後の恋
 開くと綺麗な字で書いてあった。でも書いてあったのは一言だけ『返品不可』とだけある。その下には高見主任と何故か折戸さんの名前がある。それも自署。


 営業一課の時に何度も見たから、高見主任と折戸さんの字に間違いない。綺麗で読みやすい字だった。その文字を何度も読みながら、私は自分の顔が緩んでいくのを感じる。


「なんて書いてあるの?」


 小林さんは私の持つ手紙を覗きこみ、頭を傾げた。小林さんが静岡に来て一番に届けた封筒の中身を知って私の顔を見る。多分、小林さんには分からないかもしれないけど、私には高見主任と折戸さんの気持ちが分かるような気がした。


「何これ?」


 なかなか自分から行動出来ない私に対しての大きな後押しがこの封筒の中身。本当に高見主任も折戸さんも過保護だと思う。ちょっと前に書いた私のメールを読んでの折戸さんの答えだと思う。


「なんでしょうね」


「高見主任に美羽ちゃんにこれを届けるようにと言われたから先にきたんだよ。今から、支社に挨拶に行って、引越しの荷物が来るから引越しの荷解きをしないといけない。今日は徹夜だ」


 本当に静岡駅から直行したみたい。でも、そんな真面目さが小林さんらしいとも思う。でも、今日の夕方に荷物が着いてそれから荷解きとなると本当に大変だと思う。私は自分の荷物の段ボールを片付けるのに半年も掛かった。その間は段ボールをあちこちに空けながらの生活を続けていた。



「こんな時間からですか?」

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