初恋 二度目の恋…最後の恋
 色香を纏う瞳を向けられるとドキッと心臓が跳ねる。目の前に座る人はさっきまで鬼というくらいに仕事の真剣だった人なんだけど、ビールを飲んだ後に透明の液体を転がしながら飲む姿に…ドキドキしてしまう。


「坂上さん。坂上さんがうちの課に来てくれて嬉しいよ。君は能力を最大限発揮出来るように俺はするつもりだから…。俺に付いてこい」



 このドキッとするのはなに?折戸さんの言うように…勘違い?仕事のことを言われているんだけど普通なら勘違いするかもしれない。でも、恋人いない歴=実年齢は伊達じゃない。


「ありがとうございます。頑張ります」


「ああ、期待している」



 そんな勘違いが出来るなら、私は恋の一つくらいは出来たのではないかと思う。勘違いはしないけど勘違いしそうになるほど、高見主任は私を見つめてくる。心の奥を見透かすくらいに深い瞳の輝きは…怖い。


 心も何もかも持っていかれそう。



「ちょっとお手洗いに行ってきます。」


 私がそう言うと折戸さんはクスクス笑う。自分も既にビールを終わらせてウィスキーを飲みながら高見主任に負けないくらいに甘い視線を送ってくる。この人も…高見主任と同じくらいにお酒を飲ませたら危険な気がする。


「坂上ちゃんは賢いね」


 私はペコッと頭を下げてから部屋を出た。部屋を出ると溜め息が漏れた。


 初出勤が初飲み会。


 慣れない私は戸惑うばかり。折戸さんが細かに世話を焼いてくれる緊張はするけど、ちょっと嬉しい。私が緊張し過ぎないようにとの折戸さんの優しい心遣いに心から感謝した。


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