初恋 二度目の恋…最後の恋
 私はファイルを受け取り、開くと余りにも細かく分析されたファイルに驚く。相手を知らないと営業にならないというのはあるけれども、私の想像を遥かに超えていた。これが一課の成績を支えているのだろう。営業は闇雲に仕掛けても時間が掛かるばかりで効果は上がらない。


 でも、完璧に企業研究をした後ならば…それは違ってくる。


 こんな完璧なファイルがあるのに、私に何が必要なんだろう。一緒に同行する意味が分からない。とりあえず必死で貰ったファイルを読むことにした。


「朝礼を始める」


 そんな高見主任の言葉に営業室は急に静かになるのだった。


 朝礼中に漲る緊張感をどう表現したらいいのだろう。今月の目標を言われ、課としての必達の目標を言われる。でも、その数字が大きいのかさえ私にはよく分からない。でも、折戸さんを始め、みんなの顔が真摯で厳しいのだから、簡単な目標ではないことくらいは分かる。


 飲み会の時の穏やかな顔はどこに行ったのか、真剣で真面目な顔は私の背筋をも伸ばさせるのだった。



 朝礼が終わると、私は小林さんに金曜日に送って貰ったお礼を言おうと思った。


 だけど、声を掛けようとすると小林さんに電話が入ったり、終わったからと思って声を掛けようとすると誰かが話掛けたりして…タイミングが掴めない。

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