初恋 二度目の恋…最後の恋
 研究職員は必死な思いで製品の開発を行う。


 その製品の特性を分かって貰うとやはり嬉しい。研究には時間がとても掛かる。その中で多くの失敗を繰り返しながら製品になるように頑張るしかない。今まで、研究はいくつも成果になってはいた。でも、こんな風に直接商談をする場面を想像したことはなかった。


 理解し、完璧な知識を披露しながら、高見主任は自分の主導のまま商談を進めていく。ただのキラキラ殺人的な光線を放つ人じゃないと。この人に色々と仕事を教えて欲しいと思った。


 高見主任と同行を繰り返すことで私は営業一課の人の役に立ちたいと心から思う。今の私はかなり未熟で誰の役にも立てそうもないけど、いつか役に立てる日が来てほしい。


「悪くないです。では、検討の上、お返事をします」


「ありがとうございます」


 商談は…前向きに検討という雰囲気のまま終わった。私と高見主任は取引先のビルを出て車に乗り込むと、高見主任は深い溜め息を零した。


「坂上さん。あの説明で間違いはないよね。一部分だけ記憶があやふやだった。」


「大丈夫です。完璧でした。開発をした研究員の私が言うのだから大丈夫です」


「それはよかった。だけど、研究所員ではなく元研究所員です。坂上さんは営業一課の人間。間違ないでくださいね。」


 自分の居場所というのは『ここ』にあるのだと思うと嬉しく感じる。


「ありがとうございます。」


「何がですか?」

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