初恋 二度目の恋…最後の恋
「私は今の主任の言葉が嬉しかったです。研究所と営業課はあまりにも違うから、私が転属する際に研究所の所長に頼まれたかと思いました。仕方なく受け入れてくれたのかと思っていました」


 研究しかしてこなかった私が本社で何が出来るのだろうかと思っていた。だから、本社営業一課に配属が決まった時に仕方なく受け入れてくれていると思っていた。でも、今の高見主任の言葉を聞いているとそれだけではない。



「営業一課はそんなに甘い場所じゃない。坂上さんの転属の話が会った時に最初は総務課か経理課でという話でしたが、課長にお願いして営業一課の営業補佐という形で受け入れて貰えるように頼みました。坂上さんの知識が必要だと思ったからです」


「そうなんですか?」


「ああ。営業一課は数字を上げるのが使命。数字を上げるためにはやはり商品を完璧に理解する必要がある。
 だから、専門的知識のある所員が転属すると聞いてウチにくるように働きかけたのです」


 私はなんて幸せなんだろう。研究所が統廃合になり、本社は仕方なく受け入れを認めてくれたのだと思っていた。


 だけど、違った。少しの期待が私を支える。


 今までやってきたことを活かして誰かの役に立てれば、これ以上嬉しいことはない。そうなりたいと心から思う。


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