初恋 二度目の恋…最後の恋
「お忙しいなか時間を取って頂き、誠にありがとうございます。今日はウチの社にて開発致しました新商品のご案内をお持ちしました。五分ほどで終わりますので、よろしくお願い致します。」


 五分と聞いて社長の気持ちが少し揺らぐ。ちょっとだけ斜めに向いた身体が高見主任の方に向いた。


 五分という時間の使い方。特に高見主任の使い方は鮮やかとしか言い様がない。

 最初の一分で話の中に引き摺り込み、最後の一分は余韻を残して話をキッチリと終わらせた。


「貴重な時間をありがとうございました。」


 高見主任がそう言うとすでに社長は身体を正面に向け、目の前に広げられた資料を食い入るように見ている。


「…もう少し詳しい説明を聞きたいのだが。」


 社長は高見主任の顔をしっかりと見つめていう。すると、高見主任はにこやかに微笑みを浮かべて社長を見つめる。


 そして、心の奥底がゾクゾクするほどの声が応接室に響いた。


「社長の時間が宜しければ私は構いませんが。」


 社長は応接室の時計を見て、フッと溜め息を吐く。

「今日はあんまり時間がないから、後、20分くらいまでなら、明日は忙しいが明後日なら時間が取れる。」


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