初恋 二度目の恋…最後の恋
 さっき、小林さんの時も思ったけど、折戸さんもスーツじゃないからいつもと違う感じがする。


 いつもはセットした髪も今日は自然に風に靡いている。綺麗な顔を彩るのはナチュラルブラウンの髪。太陽に光にナチュラルブラウンの瞳はキラキラと輝いている。でも、笑顔はいつもと変わらないで穏やかだった。


 シンプルな服を着ているのに、想像以上に折戸さんは華やかだった。辺りに優雅な雰囲気を漂わせている。


 折戸さんは私と小林さんの顔を見比べ、にっこりと笑う。会社の時と全く同じ。まるで会社の廊下で会ったかのように小林さんに話しかけたのだった。



「やあ、蒼空」

「お、折戸さん。こんにちは」


 そして、小林さんも私と折戸さんの両方の顔を見比べた。ここに折戸さんが現れたことに驚いているみたいで、少し目を見開いた。なんと思ったのだろうか?でも、そんな小林さんの様子を折戸さんは全く気にしていなかった。



「今から、坂上ちゃんと出掛けるつもりなんだけど、蒼空はどこに行くんだ?」


 余りにも隠すことなく折戸さんは小林さんに私と出掛けるという。あまりにも堂々としていてもう一度驚いた。


「いや。俺は今、本屋に行ってきて、今から家に帰るつもりです」



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