【企】恋する君に口づけを
◇*◇*◇
本番の劇もいよいよ終盤に入った。
あたしはいま、目をつむって棺桶の中で死んでるフリをするだけ。
だけどそれがすごく緊張する…。
薄目を開けると、少し離れたところには7人の小人役の男女が座って、あたしのことを悲しそうな顔で見ている。
「小人たち、この美しいお嬢さんはなぜこんなところで眠っているんだ」
すると、ステージ脇から王子様役の康太が現れた。
だめだ、胸がドキドキしてくる。
「白雪姫は死んでしまったのです」
小人のひとりがそう言うと、康太はしゃがんで顔をあたしに近づけてきた。
思わず、目をぱちっと開いてしまう。
『……好きなやつってだれ』
目を開いたあたしに驚きながらも、康太はこそっとそう聞いてきた。
周りの人には康太の声は聞こえてないみたいだけど…。