【企】恋する君に口づけを
どうしていまそんなこと聞いてくるの。
ここで、答えられるわけない……。
あたしは小さく首を横に振った。
『…なにそれ』
康太は眉をひそめてそう言うと、ゆっくりと顔を近づけてくる。
き、キスをするフリのシーン。
それだけど、康太と至近距離なのが恥ずかしくて、ぎゅうっと力強く目をつむる。
『……っえ?』
一瞬だけど唇に柔らかい感触がした。
それがなにかわかって、大きく目を見開く。
すると康太は恥ずかしそうに顔を逸らした。
「白雪姫が目を覚ました!!」
小人のひとりがあたしの顔を覗き込んでそう大声をあげた。
そうだ…演技しなきゃ。
うっかり忘れていたけど、まだ劇の途中。
体育館にもたくさんの人がいてステージを見ている。
それを思い出して、あたしはゆっくり体を起こした。