素顔のマリィ
渋々頷いた要を残して、わたしが彼のマンションを後にしたのは、もう日付も変わった25日の朝だった。
そのままズルズルと抱かれる局面にはなりたくなくて、勢い部屋を出てきたのだけれど。
「寒っ!」
外は雪でも降らんばかりの冷気が張り詰めていた。
「おいっ」
「えっ? きゃぁ〜」
「馬鹿、俺だよ俺」
「えっ、山地?」
「ちゃんと別れられたのかよ」
「うん」
「そっか、なら良かった」
「もしかして心配してくれたの?」
「お前は情に流され易いからなぁ」
「そう? わたしって意外と冷たいとこあるよ」
「だなぁ、俺がこんなに寒い思いしてお前のこと心配してやってるのに、『きゃぁ〜』だもんな」
「だって、さすがに驚くよ、こんな夜中に声かけられたら」
「暗闇でも、俺はお前の声を聞き間違えない自信があるぞ」
「またまたぁ」
「疑ってるな」
「いえいえ、信じてます」