クレームの女王
「犯人逮捕に全力を尽くします」

そう言った男は
麗華を探るように言葉を続ける。


「ところで奥さん。旦那さんが
事故に遭われる前の日に


マンションの駐輪場に
怪しい人影を見たと言う


情報があるのですが
何か心あたりはないでしょうか?」


麗華の脇から汗。
心当たりがあるなんてもんじゃない。

怪しい人影は
間違いなく麗華なのだから。

逮捕されて刑務所に放り込まれる
姿を想像して


心底震える麗華。


「心当たりなんてありません。
失礼します!」

男から逃げるように
エレベーターに乗り込む麗華。

エレベーターの外では
まだ男が

じっと麗華を見つめている。
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