クレームの女王
ドキドキしたまま店を出て
ドキドキしたまま電動自転車を漕ぐ麗華。


補助いすに座った祐樹が
額に貼ったバンドエイドをしきりに触っている。


麗華の漕ぐ自転車が古びたマンションの駐輪場に滑り込む。
鍵をかけ荷物を持った麗華が祐樹の手を引いて

エレベーターに走りこむ。
音もなく扉が閉まり

エレベーターは上へと昇っていく。


二階…三階…


麗華はエレベーターの中で
ちょっと震えながら封筒の中身を見た。


そこには確かに福沢諭吉が二人
にっこりと笑っている。


これは私のものなの?


麗華はなんだか魔法にかかったような気がしていた。


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