クレームの女王
「もう、これからは気を付けてくださいよ!」


そう捨て台詞を残し
麗華は祐樹の手を引いて所長のもとを去って行った。


所長は麗華の姿が消えるまで
頭を下げ続けていた。


エレベーターに乗り込む麗華。
まだ胸の鼓動が止まらない。


ポケットの中には確かに
お金が入った封筒がある。



エレベーターを降り
震える手で家のドアを開ける麗華。


古びたドアがギイィと嫌な音を立てるが
麗華はそんなことは気にならない。


鼻歌を歌いながら靴を脱ぎ
テレビの前に祐樹を座らせて電源を付けた。


テレビではちょうど祐樹の好きなヒーロー物が
始まった。


祐樹は食い入るようにテレビの中の
ヒーローを見つめている。


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