優*雪

沖田 セツ


文久四年 元旦


新選組が全員で初詣

その後、現地解散した


沖田は、走って蕎麦屋へ


店には〝本日休み〟と貼ってあり
戸があかなかった

前日に約束していないことを後悔した

帰ってくる、そう信じて
寒いが待つことにした



一刻ほどして、ぞろぞろと帰ってきた
その中にセツを見つけた
声を掛ける前に


「あぁーー!!! 総司さぁーーん!!」


大きく手をぶんぶんする


蕎麦屋の一同に挨拶をして
セツと手をつなぎ、河原へ

沖田がセツを抱きしめる

「?」

沖田が泣いている…
そう気づいたセツは
沖田の背に手を回して擦る



「生きててくれて
ありがとうございます!」


「総司さん? んんっ」


沖田が口づけをした


「あなたが、好きです」



「!!!おおきに……
でも、答えられへん」




「わかってます」

「なんか、あったんちゃう?」


「ありましたよ!
避けられたり、居なくなったり
死んだ振りされたり!!
いっぱいありました!」

「全部、うち?」


「あなた以外に、私の心を乱す方は
いませんよ!!!」


沖田に苦笑いしてみせる


「これ。渡さへんつもりやってん
睦君から総司さんが
今日くるって言ってたから」

新から、沖田への手紙だった

中には、雪之介が…

と、たくさん書いてあった


「読みます?」

「どうせ、雪がどうのやろ?」

「そんなとこですが…」

「新がね、神咲の忍を作ったんや
雪之介として生まれて
女には……なれへんかった
雪之介として生きる場所をくれたんや
女にもなれるようになったし
総司を認めてくれた」

ニコと笑い

「ほんまはね
誰もおらんとこに、行きたかってん
どうでもよくなって…
一人になろかなって… 」


「一人になんてさせません!
というか、私のそばにいてください!」




二人で手をつないで、町を歩いた



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