優*雪

山南 セツ

「総司さん…山南さんの手、どお?」

「抜糸したよ
だけど、動かすのが痛いみたいで」

「うち、山南さんに会えへんかな?」

「屯所は危ないから、店に連れて行くよ」

「ほんま!?ほな、待ってる!
明日も休みやし、いつでもええからね!」





翌日







「へぇーー。そっくりですね?」

「よく言われます」 ニコ

「雪之介君もセツさんも
医学に明るいなんて、すごいですねぇ」


「雪は、医者ねんけど
うちは、お手伝いやさかい
すごないです」


「雪から、手の動かし方を習ってますよって、手を見せてもらってええです?」

「どうぞ」

手を揉んだり、筋を伸ばした

「痛くない?」 「ええ」


「ほな、この動きを暇さえあれば
してください」


「うん。わかりました」





「へぇー。なかなか様になってますね!」

「そおかいなぁ?」

「ありがとう」

山南がセツの頭を撫でる

真っ赤に照れながら

「山南さんが、うちのお兄ちゃんやったら
よかったわ/////」

「おや?雪之介君に怒られますよ!」

「雪は、うちのこと嫌ってるから
ええんよ」





「また会いたいな」

「うちも!!」 「私も!!」


「では、またね!」 「またね!」

「はい。また!」



二人を見送り、一人涙を流す

自分の中の色々な人格を、何も聞かずに理解してくれた、山南に感謝の気持ちと

二人の背中を、追いかけることの出来ない悔しさ




「あと、どれくらいやろ…」


最近、胸の痛みを感じるようになった


命の期限を感じているようだった

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