優*雪

労咳

町外れの家に入る



「竜太郎先生ーー!!」


「はぁーい!奥にどぉぞーー!」


「お医者様?」

「うん。総司さんみてもらって?
うちの勘違いならええけど」

「わかりました」


診察



「沖田君、労咳ですね」

「竜太郎先生!
うちの肺でも何でもあげるから
総司さんを治して!!」


竜太郎も沖田も、こんなに取り乱すセツを
はじめて見る


「お願い!!お願いやから!!」



沖田には、まったく実感のないこと


「無茶言ったらダメだよ。大丈夫だから」


沖田がいくら言っても泣くばかり


「すまないね。診察に出掛けるね」


竜太郎が家をでる




「私の為でも、あなたに泣かれるのは
いやです
ねぇ。泣かないで」



懸命にセツを慰める



「かんにん…
泣きたいのは総司さんなのに…」

「いえ。実感ないから」


「うちの母も労咳やってん
総司さんの音。母の音と同じやね」


沖田に抱きしめられ、音が聞こえる

セツが沖田を抱きしめ返す


「内緒にしてください」

抱き合ったまま、沖田の顔をみる

「ええよ」

セツには、沖田の気持ちがわかる


「あなたの隠し事も教えて?
誰にも言わないから…」


セツが俯き沖田に抱きつく





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