優*雪

土方目線 ②

殿内の件があってから総司は優太に話し掛けるようになった

優太は喋れないし、無表情だから
総司が一方的に話して、絡んでいるようにしか見えないが…




司・優太がきてから
一月がたった、夜のこと

俺は遅くまで仕事をしていた
気分転換と眠気覚ましに
屯所でも人気のない廊下を歩き
背伸びをしていた



「くしゅんっ!」




~こんな時間に誰だ!!!



くしゃみの聞こえた方に行くと…


縁側の柱にもたれ、座っている優太が
こちらを見た

「おどかすなよ こんな時間に何してやがる?」

俺を見ていた優太は、目線を月に移した

「なんだ?月見か?」



~江戸から京に来たときもこんな月だった


「綺麗だな」

素直に思ったことを口にした
優太は月を見たまま何も言わない



~喋れないんだったか…

「総司のこと…ありがとうな」



今さらかと思ったが…言いたかった
優太がこちらを向いて…首をかしげた



~自覚なしかよ



「風邪ひかねぇうちに、さっさと寝れよ」

俺がいたら、優太も部屋に戻らない
そんな気がして、その場をあとにした

本音言うと
月を見る優太の目が寂しそうだったから
もう少し傍にいたかった…









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