優*雪

人格

優太が覆面をとった

沖田に顔を向け、ニコッと笑った


「えっ!? あなたは!?」


沖田は人格の一つ、蕎麦屋で働く〝セツ〟と、会っていた
蕎麦好きの斉藤に着いていった時だ
セツは女、同じ顔で優太は男


「気持ち悪いやろ?」

セツは山崎と同じ、大阪弁で話す


「いえ  驚いただけです!」

「母が大阪の生まれやから、ホンマはこの喋りやねん!母が死んだ後、あるところに養子にもらわれてんけど、馴染めんでなぁ
死のうとしててん、新から拾われて、忍になったんや」


「そうですか」

前に司からも自害の話を聞いたから
何度も、辛い経験をしたのだろうと察した


「茶が冷める。団子をいただこう!」


新の一言で、三人は団子を食べだした
沖田は、新に言われたように
名前を呼ばずに会話した


最初はわからなかったが、話方が変わることがあり、同じ男でも人が違う、同じ女でも人が違う。 江戸言葉や大阪弁、京弁と様々だった 


新は、五人と言っていたが、沖田には何十人に感じた
よく喋る  よく笑う

コロコロ変わる、優太の表情を見て
時がたつのを忘れていた

「湯呑みを片付けておいで」


優太が湯呑みをお盆に乗せて、部屋をでた


「やはり、沖田君に頼んでよかった
精神に不安を感じたら、月一度でなく何度も話をしにくるから、付き合ってください
気を付けることは
興味のある話でも深くきかない
名前を呼ばないこと
名前は人を束縛するから、他に障害が生まれてしまうからね 」


「わかりました」


「人格ごとに出来ること、出来ないことがあり、女でしか泣けないとか
男でしか武術が出来ないとか、不器用なんだか器用だか、複雑だろう?

沖田君、これは二人の秘密
優は浪士組を創る為に、色々なものを捨てた
浪士組を守る為に、命を捨てようとしている
忍を抜け身になっては、生きる場所がない
生きていいのか、そんなこと普通きかないだろ?
母親から、愛されなかったからね
いつでも死ねる支度をしているように、儂には見えるよ」

「そんな……。」


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