私を惚れさせて。私の虜になって。
松木は上手く傘を避け、2人に掴まれたまま改札を抜けた。

…ほんっと、目立つよ?

台風みたいな風が吹いていて、バケツをひっくり返したなんて言葉じゃ足りないぐらいに雨が降っている。

天気の悪さにあっけにとられていたら、いつの間にか手は離れていた。

「…くぞ」

「うん」

すごく機嫌が悪そうな松木は傘を開く。

まーくんも私もそれに続いて傘を開いた。

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