私を惚れさせて。私の虜になって。
いいから。もう。
「友李ちゃん。おはよ」

「…」

「お姉ちゃん。宿題ここわかんないんだけどさぁー…」

「…」

二人ともわざとらしすぎる。

いやだいやだ。

「行ってきまーす」

今朝、私が発したのはその一言だけだった。

そんなの、関係ないし。



「おは」

クラスで、家の話をするのはいやだ。

だから、いつもどおりに。

「すがちゃんおはー!」

「どうしたそのテンション」

「モリちゃんがいないの!雨なのに!部活やらないはずなのに!」

モリがいないだけで、そんな騒がなくても。

「まぁまぁ、そのうち来るって」

私がこなくても、きっと、こうはならないくせに。
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