私を惚れさせて。私の虜になって。
私の小さい言葉は、誰にも拾われなかったけど。

それでも、心はあったかくなれる。

不思議だね。

「ごちそうさま」

このお盆は、片付けたほうがいいよね?

松木のお母さんにも、お礼言ってないもん。

「ん。美味かった?」

立とうとしたのに。

それさえも、阻まれた。

「うんっ!美味しかった」

「元気そうでなにより」

頭を撫でられて、お盆を下げられる。

「寝てろよ」

布団までかけて貰えて。

「まーくん寝てるよ」

「ったく」

松木が笑って、

私は瞼を閉じた。


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