私を惚れさせて。私の虜になって。
そうするしか、ないから。
目が覚めたのは、

どうやら、夜中のよう。

だるさも、もうなくなった。

ベッドの下を見ると、

寒いだろうに、松木は薄そうな毛布しか掛けていない。

…わたしなんかが、占領してるから。

「松木、ごめんね」

大きなあったかい布団を松木に掛けて、

頭をそっと持ち上げて、枕も渡す。

ベッド、貸してくれてありがと。

「おい」

「ぎゃっ!」

手首を取られて、足がすで滑る。

「何寒々しい格好で寝ようとしてんだよ病み上がり」

「え、ごめん…。でも…」

また、松木に抱きしめられた。

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