恋愛戦争
「あ、うまい」
「当たり前でしょ。パッケージ通りに作ってるんだから」
まるで教科書どうりに実験するようだなと思ったが言ったら怒られそうなのでやめた。
「いつから一人暮らししてるの?」
「大学入ってすぐだよ」
彼女は高校で既に寮に入り親元を離れていたから、特段何かを思うことはないのかもしれない。
「ナツは?いままで実家?」
「いや、俺は事務所の借りてるマンションにいた」
「………それって、出ていいの?」
「売れてくると逆にマスコミ集中しやすくてさ、ちょうど芸能人OKの物件探してたんだよ」
「ふーん、ここって大丈夫なんだ」
「セキュリティ万全だし、不動産自体も小規模で情報拡散しにくいんだろうな」
へー、ふーん。とまさに他愛もない会話のレスポンスを繰り返しているうちに時計の針は2周した。
「明日は?」
「ナツの事務所行って宣伝写真のスケジュール組んでくる」
「それ俺いなくね?」
「知らない」
俺明日オフなんだけど。
確かに俺がその日休み欲しいと言ったわけだけど、それは引っ越しするからであって、晶との仕事なら行きたいし。
俺がいなくても進む話なんだろうけどもなんだか、いやだ。
「それって何時入りなの?」
「11時にアポ入れてるはずだよ」
「了解」
「なに了解って、やめてね絶対だめだよ」
「わかってんじゃん」
「ナツはお利口でしょ、お家で待ってて」
「犬みたいな扱いすんな」
食後の一杯のカモミールティーに映るのは攻防戦が止まらない自身の顔。
「晶、この話一回やめよ」
「ばか」
なんだそれ。くっそ可愛い。
拗ねるというか、怒るというか、呆れるというか、その晶はとても可愛くてまた抱きしめたくなったけど、もう殴られたくないから我慢した。
それからは簡単。
そろそろお風呂に入ると言うので、じゃあ待っとるねといえば帰れと言われたので、猥褻だと通報される前に潔く帰り、ダンボールをいそいそと開けて片付けを始めた。