風に恋したキミと



声を掛けられて驚いている彼に、わたしはざわざわする中、こう言ったんだ。



「これね、女子部員みんなで色紙書いたの!



三年も卒業するのに書くかどうか迷ったんだけどせっかくだからと思って、はいっ!」



「……サンキュ」



わたしはまるで業務連絡のように淡々とそれだけ告げると、振り返ってもう佑真のことは見なかった。



最後なのに、色紙の説明だけで終わりするのはちょっと名残惜しいけどしょうがない。



これがわたしたちの選んだ未来。



きっと、もう二度とわたしたちがこうやって何かで一緒になることはない。



< 337 / 361 >

この作品をシェア

pagetop