風に恋したキミと
「だから、意地でも決勝に残りたかったんだよ。
確かに、今日は自分でも周りに流された試合をしたことはよく分かってる。
それでもぶっ倒れるくらい走り通したのはゴール直前の100m切ったとこでタイムが見えたから」
タイムが見えたから?
ぶっ倒れることを分かってても走ったってこと?
「ごめん、全然言いたいことが分からないよ」
わたしは正直に、言いにくいけど桐島に伝えた。
「ったく。お前だって3000mを走るのに10分切ることにこだわって走ってるだろ?
それと一緒だ。
去年のデータだけど決勝出場選手の標準タイムを知ってて、なんとか届きそうだったから残りの力全て振り絞ったらあーなった」