風に恋したキミと



「だから、意地でも決勝に残りたかったんだよ。



確かに、今日は自分でも周りに流された試合をしたことはよく分かってる。



それでもぶっ倒れるくらい走り通したのはゴール直前の100m切ったとこでタイムが見えたから」



タイムが見えたから?



ぶっ倒れることを分かってても走ったってこと?



「ごめん、全然言いたいことが分からないよ」



わたしは正直に、言いにくいけど桐島に伝えた。



「ったく。お前だって3000mを走るのに10分切ることにこだわって走ってるだろ?



それと一緒だ。



去年のデータだけど決勝出場選手の標準タイムを知ってて、なんとか届きそうだったから残りの力全て振り絞ったらあーなった」



< 88 / 361 >

この作品をシェア

pagetop